共済掛金とは?教員の給与から引かれる仕組みを解説

給与明細を見るたびに、こう思ってきました。

「共済掛金(長期・厚年):45,750円……これ、何?」

教員になって何年も経つのに、ちゃんと理解していませんでした。毎月引かれているのに、何のためのお金かも、将来何になって返ってくるのかも、よくわからないまま。

この記事では、給与明細に毎月登場する「共済掛金」の正体を、できるだけわかりやすく解説します。

📌 この記事でわかること
・共済掛金の3つの種類(長期・厚年/短期/長期・退職)が、それぞれ何のお金か
・実際に毎月いくら引かれているか(私の明細の数字)
・払った掛金は戻ってくるのか(年金・医療費の払い戻し・退職金との関係)

「共済」って何?まず基本から

公務員には、民間企業の「社会保険」にあたる独自の仕組みがあります。それが「共済組合」です。

教員の場合は都道府県ごとの「教職員共済組合」に加入します。入るかどうか選ぶ余地はなく、採用と同時に自動加入です。

共済組合は、大きく3つの給付を行っています。

そして毎月給与から引かれる「共済掛金」は、この3つの給付のために支払う保険料にあたります。

共済掛金の種類:長期・短期・退職の違い

給与明細をよく見ると、共済掛金は複数の種類に分かれています。それぞれ何のために引かれているのかを確認しましょう。

① 共済掛金(長期・厚年)=年金

「長期」は老後の年金のためのお金です。さらに「厚年」が含まれているのは、会社員が加入する「厚生年金」の部分も一緒に納めているためです。

2015年の制度改正以降、公務員も厚生年金に加入することになりました。その前は公務員独自の「共済年金」(職域加算つき)でしたが、今は会社員と同じ厚生年金に、公務員だけの上乗せとして年金払い退職給付(③)が加わる形になっています。

💡 ポイント:「長期・厚年」はざっくり言うと老後のための積立。毎月引かれる金額が最も大きいのは、それだけ将来の年金に直結しているからです。

② 共済掛金(短期)=健康保険

「短期」は医療保険のためのお金です。会社員でいう「健康保険料」にあたります。

病院にかかったときの3割負担、傷病手当金(病気やけがで休んだときの補助)などは、この掛金によってまかなわれています。

③ 共済掛金(長期・退職)=年金払い退職給付

「長期・退職」は、2015年10月に始まった年金払い退職給付(退職等年金給付)の掛金です。名前に「退職」とありますが、いわゆる退職金(退職手当)の積み立てではありません。

公務員の年金には、以前は「職域加算」という上乗せがありました。2015年10月に厚生年金に一本化されたときに職域加算は廃止され、その代わりにできたのがこの年金払い退職給付です。原則65歳から、半分は一生もらえる年金、残りの半分は期間を決めた年金(一時金で受け取ることもできる)として受け取ります。

一方、退職するときにまとめて受け取る退職手当(退職金)は、自治体が条例にもとづいて払うもので、本人の掛金はありません。

種類 会社員でいうと 将来もらえるもの
長期・厚年 厚生年金保険料 老齢厚生年金(2015年9月までの加入期間がある人は、その期間の職域加算も)
短期 健康保険料 医療費補助・傷病手当など
長期・退職 (公務員独自) 年金払い退職給付(退職年金)

実際いくら引かれる?私の明細で確認

私の給与明細(2026年春)での実額はこうなっています。

項目 月額 年額換算
共済掛金(長期・厚年) 45,750円 約549,000円
共済掛金(短期) 24,005円 約288,000円
共済掛金(長期・退職) 3,750円 約45,000円
合計 73,505円 約882,000円

3項目合計で毎月約7.4万円。年間では約88万円が共済掛金として引かれています。

私の支給合計が約51万円なので、支給額の約14%が共済掛金だけで消えている計算です。これだけ見ると「引かれすぎでは?」と思いますよね。

引かれた分は将来どう返ってくるか

共済掛金は「消えるお金」ではありません。ただ、払った掛金がそのまま現金で戻ってくるわけでもありません。年金や医療の給付という形で返ってきます。

年金として

老後は老齢厚生年金と年金払い退職給付を受け取ります。どちらも国民年金(基礎年金)に上乗せされる形です。老齢厚生年金は会社員と同じ仕組みで、年金払い退職給付が公務員だけの上乗せです。

2015年9月以前から働いている人は、その期間の分だけ、以前の制度の「職域加算」も受け取れます(経過的職域加算)。

医療の給付として

現役中は3割負担の医療費補助、長期の病気・けがには「傷病手当金」があります。教員は職業柄メンタル系の休職も少なくないので、この保障は意外と使われています。

払った掛金は「戻ってくる」?

「共済掛金 戻ってくる」と検索する人は多いのですが、答えは次のとおりです。

よくある疑問 答え
教員を辞めたら、払った掛金は返ってくる? 現金では返ってきません。加入していた期間は年金の計算に入り、将来の年金として受け取ります。民間の会社に転職しても、厚生年金の加入期間としてつながります。
医療費が高くなったとき、戻ってくるお金はある? あります。高額療養費のほかに、共済組合には自己負担が一定額を超えた分を払い戻す「付加給付」があります(公立学校共済組合の「一部負担金払戻金」など)。対象や金額の基準は、加入している組合の案内で確認してください。
「長期・退職」の分は、退職金に上乗せされる? されません。年金払い退職給付として、原則65歳から年金で受け取ります(半分は一時金も選べます)。
「共済の積立貯金」とは違う? 違います。共済組合の積立貯金は、自分で申し込んで給与から天引きで貯める貯金で、引き出せます。共済掛金は全員が払う保険料なので、引き出すことはできません。

退職金との関係

退職するときにまとめて受け取る退職手当(退職金)は、共済掛金とは別のお金です。自治体が条例にもとづいて払います。金額の計算は別記事(教員の退職金はいくら?)で解説しています。

💡 まとめると:今引かれている共済掛金は、将来の「年金(老齢厚生年金+年金払い退職給付)」と、今の「医療の給付」として返ってきます。現金でそのまま戻るわけではありませんが、消えているわけでもありません。

会社員の厚生年金・健保と何が違う?

民間の会社員と比べたとき、共済の主な違いは以下の点です。

教員(公務員) 民間会社員
年金 共済組合(厚生年金+年金払い退職給付) 厚生年金
医療保険 共済組合(短期) 健康保険組合・協会けんぽ
退職給付 年金払い退職給付(掛金あり)+退職手当(掛金なし) 会社による(退職金なしも多い)
使用者負担 自治体が半額負担 会社が半額負担

掛金の半分は雇用主(自治体)が負担しています。つまり、私が払っている45,750円と同額を、自治体側も別途払っているわけです。これは民間の健康保険・厚生年金と同じ仕組みですね。

⚠️ 注意点:共済の掛金率は毎年度見直されます。制度改正によって将来の給付水準が変わる可能性もあるので、「払った分が全額そのまま返ってくる」とは限りません。年金制度全般に言えることですが、過度に期待しすぎず、NISAなどの自助努力も並行して進めることをおすすめします。

まとめ

📌 この記事のまとめ

  • 「共済」は公務員版の社会保険。年金・医療などの給付を行う
  • 共済掛金(長期・厚年)=厚生年金、(短期)=健康保険、(長期・退職)=年金払い退職給付
  • 私の場合、3項目合計で月約7.4万円・年約88万円が引かれている
  • 引かれた分は「年金」と「医療の給付」として返ってくる(現金でそのまま戻るわけではない)
  • 退職金(退職手当)は掛金とは別。自治体が払う
  • 掛金の半額は自治体が負担している(実質2倍の積立)
  • 制度への過信は禁物。NISA等の自助努力も並行して

共済掛金の仕組みを理解すると、毎月の給与明細が「引かれてる」から「積み立ててる」に見え方が変わってきます。全部損しているわけじゃない、と思えると少しだけ気が楽になりませんか。

給与全体の内訳については、給与明細公開の記事もあわせてどうぞ。

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