教員になって数年が経ったころ、ふと気になりました。
「私の給料って、これからどうやって上がっていくんだろう?」
民間企業なら昇給の話を上司とすることもあるでしょう。でも教員の世界では、給与の仕組みについて誰も教えてくれません。気づけば毎年4月に少し増えていて、「あ、上がったな」で終わり。
この記事では、教員の給与がどうやって決まり、どう上がっていくのかを、できるだけわかりやすく解説します。
教員の給与は「給料表」で決まる
公務員の給与は、「給料表(給与表)」と呼ばれる一覧表によって決まります。教員の場合は「教育職給料表」がそれにあたります。
この表は縦軸と横軸で構成されています。
- 縦軸(級):職の種類・役職(一般教諭、主任、管理職など)
- 横軸(号棒):在職年数や経験に応じた位置
自分が表のどのマスに当たるかで、基本給(給料月額)が決まります。手当はそこに上乗せされる形です。
💡 ポイント:教員の給料は「この人は優秀だから高い」「この人はサボってるから低い」ではなく、表の位置で機械的に決まります。
「号棒」とは何か
号棒(ごうぼう)は、給料表の横軸の位置を示す番号です。採用時に初号棒が決まり、基本的に毎年1号棒ずつ上がっていきます。
初号棒は採用前の経験によっても変わります。たとえば:
- 新卒で採用された場合 → 初号棒は低め
- 民間企業を経てから教員になった場合 → 職歴に応じて高めの号棒からスタート(換算率は職種による)
- 臨時講師の経験がある場合 → 一定程度加算されることがある
私の場合は、一度教員を辞めて別の仕事をしてから再採用されました。そのとき前職の経験が号棒に一部加算されたので、新卒採用より少し高い号棒からスタートできました。
毎年いくら昇給するか
原則として、毎年4月1日に1号棒昇給します。金額は経験年数によって異なり、若い頃ほど1号棒あたりの金額が大きく、ベテランになるほど小さくなるのが特徴です。
| 経験年数 | 給料月額の目安 | 1号棒あたりの増加額 |
|---|---|---|
| 採用直後〜10年目 | 約210,000〜300,000円 | 約5,000〜10,000円 |
| 10〜20年目 | 約300,000〜380,000円 | 約3,000〜5,000円 |
| 20〜30年目 | 約380,000〜410,000円 | 約2,000〜3,000円 |
| 30年目以降 | 約400,000円〜 | 約1,500〜2,000円(上限に近い) |
※金額は都道府県・勤務地・状況によって異なります。あくまで目安です。
私自身、以前いた地方から別の都道府県に移った際、給料がかなり上がりました。地域手当の有無や、都道府県ごとの給料表の差が重なったためです。「同じ教員でも住む場所で給料が変わる」というのは、あまり知られていないけど大きな現実だと思っています。
また、同じ都道府県の中でも、年数による変化は体感としてかなり違います。
私は20代の頃、毎年1万円近く給料が上がっている感覚がありました。号棒の差が大きい時期なのでその感覚は正しいと思います。ただ20年を超えたあたりから昇給額はぐっと小さくなり、今は月2,000円台。同じ「1号棒昇給」でも、若いときとはまったく違います。
号棒の上限に達するとどうなるか
給料表には「最高号棒」が設定されています。そこに達すると、原則としてそれ以上の昇給はありません。
教員(高校・一般教諭)の場合、最高号棒に達するのはおおよそ勤続35〜40年前後が目安です。それ以降は毎年の号棒昇給がなくなり、給料は横ばいになります。
ただし、人事院勧告(国の給与改定の勧告)によって給料表全体が改定されることがあり、その場合は上限に達していても給料が上がることがあります。近年は少しずつ引き上げられているので、完全に固定されるわけではありません。
「定年まで働けば給料はどこまで上がるか」に興味があって調べたことがあります。一般教諭のまま定年を迎えると、給料月額は40〜42万円前後が多いようです。そこに各種手当が加わった額が最終的な支給額になります。
頑張っても給料が変わらない、という現実
ここが民間企業と大きく違うところです。
教員がどれだけ授業を工夫しても、生徒の成績を伸ばしても、部活動で好成績を収めても、基本的には給料には反映されません。
同期で採用されれば、熱心に仕事をしている人もそうでない人も、同じ号棒・同じ給料です。
⚠️ 正直なところ:このシステムに対してはモヤっとする部分もあります。頑張りが給与に反映されないのは、モチベーション管理を難しくする一面があると感じています。
ただ、逆に言えば「業績が悪いから給与カット」もありません。安定して毎年少しずつ上がり続けるという点は、教員給与の大きなメリットでもあります。
給料を上げる方法はあるか
仕組みの中で給料を上げる方法は、大きく3つです。
① 管理職になる
教頭・校長になると、「級」が上がります。給料表の縦軸が変わるので、大きく給与がアップします。校長クラスになると、一般教諭より月10万円以上高くなるケースもあります。
ただし、管理職になると残業はさらに増え、責任も格段に重くなります。「割に合うか」は人によって評価が分かれます。
② 主任・主幹教諭などの役職につく
学年主任・教科主任・主幹教諭などの役職には、別途手当(管理職手当・主任手当など)がつく場合があります。金額は職種・都道府県によって異なりますが、月数千円〜数万円程度の上乗せです。
③ 勤続年数を積む
結局のところ、一番確実なのはこれです。毎年着実に1号棒上がり続けることが、長期的な給与アップに繋がります。
💡 私の場合:管理職は考えていません。理由はシンプルで、コスパが悪いと感じているからです。昇給額以上に、忙しさと責任が増します。
それ以上に大きいのは、「この仕事で一番好きなこと」の問題です。私が教員をやっていて楽しいのは、生徒と関わること、話すこと、教えることです。管理職になると、その時間と機会を手放すことになる。その対価として得られる昇給額では、とても割に合わないと感じています。
給与の伸びが緩やかになる分は、NISAなどの資産形成で自分なりに補っています。
まとめ
📌 この記事のまとめ
- 教員の給与は「教育職給料表」の級×号棒で機械的に決まる
- 毎年4月に原則1号棒昇給。若い頃ほど増加額が大きく(月5,000〜10,000円)、ベテランになるほど小さくなる(月1,500〜3,000円)
- 給与額は都道府県によって差があり、地域手当の有無や給料表の違いが影響する
- 勤続35〜40年前後で最高号棒に達し、それ以降は原則昇給なし
- 頑張りは原則として給与に反映されない
- 給与を上げる方法は「管理職」「役職手当」「勤続年数を積む」の3つ
- 給与の伸びが緩やかな分、資産形成で補うのが現実的な対策
給与の仕組みを知ることで、「これからどうなるか」がある程度見通せるようになります。見通しが立てば、NISAや投資の計画も立てやすくなります。給与明細・共済・昇給の仕組みを合わせて理解することが、教員のお金管理の第一歩だと思っています。
給与明細の内訳はこちら、毎月引かれる共済掛金の仕組みはこちらもあわせてどうぞ。
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